引っ越しや一人暮らし始めるってお金かかりますよね。
そんなときちょっとの工夫で安くなったりするかもしれません。
特に3月、4月と新生活がスタートする方も多いと思います。今回はそんな方に向けての記事です。
私は賃貸住まいで賃借人ですが、不動産としてはマンションの1R持っている賃貸人(大家)でもあります。
また、FP2級技能士の知識と、昨年の宅建士試験を受験し、惜しくも2点差で涙をのんだという悲しい過去も生かしつつ、今回は賃貸人の立場から少しお得な情報をお伝えします。
安くなる可能性があるものは大きく3つ
仲介手数料 (一番効果的かつ安くなる可能性が高い)
今回紹介する中で一番効果的かつ成功可能性が高いです。
おそらく一般的な認識だと家賃の1か月分でしょうが、実はこれには罠があります。そんなに払う必要ないです。原則の法定上限は0.55ヶ月分となっています。
どういう事かというと、不動産業者は「宅地建物取引業法」という法律で規制されている業種なのですが、この法律の46条には不動産業者が受け取ることができる報酬について、国土交通大臣が定めると規定されています。
宅地建物取引業法 第四十六条 (報酬)
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
昭和二十七年法律第百七十六号
宅地建物取引業法
そして肝心の国土交通大臣はどのように定めているかというと、以下の通りです。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
第四 貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の 額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は 建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものであ る場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・一倍に相当す る金額以内とする。
この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方か ら受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場 合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。
国土交通省告示第四百九十三号
ここで賃貸の仲介手数料でポイントは以下の文言です。
居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方か ら受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場 合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。
つまり、依頼者からの要望がない限りは0.55月分しか請求できないと規定されています。
ですので、ほぼ半月分しか払う必要はないんです!
ですが不動産業者はそのようなことは説明せず、現実にはほぼ限度額である1か月分請求がまかり通っています。
これは不動産業界の悪しき風習だと私は考えています。この記事を読んだ方はぜひ不動産業者との交渉材料に使ってみてください。
最近、東急リバブルが関連する裁判で敗訴するなどしていますので、とても効果的のはずです。
リンク:仲介手数料裁判 東急リバ敗訴 全国賃貸住宅新聞 2020年1月20日
火災保険料 (おそらくほぼ安くなる)
賃貸物件入居にあたり火災保険の加入が義務付けるケースが多いですが、何も言わないと割高な契約のまま不動産業者のキックバックが多い契約を結ばされる可能性が高いです。
火災保険は火災発生時の家財保障や備品誤って壊した時の補償として活用できますが、補償内容が適切かどうか、絶対に確認してください。
大体2年間で5,6千円程度でしたら適正かなと思います。1万円を超えるようなものは正直言って2年間内の契約では不要だと思います。
小さいお子さんがいて家具を壊すとか家を傷つける可能性が高いなら内容を見て入っていてもいいかもしれませんが、一人暮らしであったらほぼ不要です。
礼金 or 家賃 (可能性は高い、だが確実ではない)
これは正直他2つと違って事情によりけりで確実に安くなるとは言えない+賃貸人としては厳しいところあるのですが、礼金は慣例的なものですし、家賃も誰も入居しないで入金がないよりはマシなので1000円程度だったら対応してくれる大家が今はほとんどです。
一部ご高齢の大家さんの場合は、昔からの特権意識で値下げ交渉するのは嫌がったりしますが、いまは減っていますね。
どうしても住みたい物件だったらまだしも、いまは物件余りのご時世なのでそんな大家は見切りをつけるのがおススメです。住んでても嫌な思いしかしません。
ちなみに更新時は、更新時手数料をされるのが通常ですがこれも言ってくれれば安くなる可能性があります。
よほどの人気エリアで次の入居者すぐ見つかるのであれば良いですが、空きが長引くのを嫌がるケースが多いからです。
ただ、ここらへんは管理している不動産会社と大家間の手数料にちょっけする費用なので、どう費用転嫁するか否かの力関係も大きいのであんまり気にしないほうが良いかもしれません。
安くなったらラッキーみたいな。
その他細かい交渉可能項目
後細かい話をすると、
- 家賃振込手数料 (手数料かからない、安い方法はいっぱいある)
- 鍵交換代
- ルームクリーニング費用(退去時に払っているケースが多い)
- 生活サポート総合サービス(大手不動産会社がよく提供しているコンシェルジュサービス。ほぼ使わない。)
とかあるんですが、ここでは列挙するにとどめておきます。
しかし、初期費用を安くできる方法はいっぱいあるのはご理解いただけたと思います。
あまり交渉すると家が借りられなくなるのでは?
ここまで費用・手数料を安くする方法を書いてきましたが、あまり交渉すると大家とか不動産業者に嫌われて物件が借りられなくなるのでは、、と心配される方もいるかと思います。
でもそんな心配はいらないです!
ここでは細かい不動産業界の仕組みは書きませんが、実は普段私たちが物件を探すときの情報は共有ネットワーク上の物件のため、どの業者でも紹介可能なのです。
共有ネットワークの名前はレインズといいますが、原則的にここに登録するように法律で決まりがあります。
ある不動産業者と相性が悪くて契約したくないな・条件が悪いなと感じたら、別の不動産に行って同じ物件を紹介してもらいましょう。
不動産業者の価値は大家と借主の仲介・調整能力だと考えていますので、交渉に遠慮する必要はないです。
あと、細かいですが原則と書いたのは、たまたま良いなと思った物件が不動産会社管理の物件のケースがあり、その場合はネットワーク上に載せるかは任意となっています。レアなケースとなりますが。。。
おわりに
宅建士資格の勉強をしてみて改めて思いましたが、不動産業界は一般消費者と業者の情報格差がかなりある業界です。
昔からの慣習もさることながら、衣食住の領域だからという点も大きいのかなと感じました。
一方、そいうった事情から消費者側に有利な仕組みもいっぱいあります。
今回ご紹介した仲介手数料規定などもそうです。
ただ、規定されている内容が十分に周知されず、またそれを積極的に誰も周知しないので結果的に大多数の方が損をする仕組みになってしまっています。
それはとても悔しいことです。
知っているか知っていないかの違いで、人生の損益・行動はとても大きく変わります。
今回の情報も何らかの形で皆さんのお役に立てれば幸いです。